鼻の病気
アレルギー性鼻炎
くしゃみ、透明な水溶性の鼻水、鼻づまりが特徴です。通常、私たちは鼻で息を吸うので鼻水と鼻づまりで日常生活が損なわれます。「通年性」と「季節性」の2種類があり、後者の代表的なものが花粉症です。 何らかの物質にご自身の免疫反応が過剰に作用して、症状が引き起こされます。 空気が乾燥したり、急激な温度差だけで起こるアレルギー性鼻炎もあります。
治療の目標は、多少症状はあっても日常生活には支障がなく、薬もあまり必要としない状態に持っていくことです。 目標を達成するには、薬物療法、手術療法、アレルゲンの除去と回避などがありますが、実は、このうちの原因となるアレルギーの除去と回避が一番の解決方法です。 ダニ、ハウスダスト、カビなどがアレルゲンとなっている場合は、こまめに掃除するなど、何よりもご自宅の住環境を改善していただくことが大切です。
鼻血
鼻血が出たときに、まず大切なことは慌てないことです。興奮すると出血が多くなったり、止血しにくくなるからです。 出血部位は様々ですが、鼻中隔の前方からの出血が多いです。この場合は、ご自分で応急処置することも可能です。
口を開けて、もしも喉に血が回るようならば口から血を吐き出します。 次に鼻翼(鼻の先の左右の膨らんだ部分)を強くつまみます。 約5分~10分つまみ、途中でつまむのを緩めたりしないようして下さい。 止まった後に、丸めたティッシュを鼻に詰めるのはやめてください。 鼻からティッシュを抜く時の刺激で再び出血することがあるためです。可能なら脱脂綿(綿球)を入れるのが適切です。 その後も繰り返し出血が見られたり、30分鼻を押さえても止血しない場合は、ぜひ診察にいらしてください。
副鼻腔炎
鼻の骨の周りには左右4つの空洞があり、それらを副鼻腔と呼びます。 副鼻腔炎は、この副鼻腔に細菌やウイルスなどが感染して炎症が起こることで、鼻づまりや鼻水、頭痛、歯の痛みなど、さまざまな症状を発症する病気のことです。
急性副鼻腔炎は、症状が1カ月程続く病気で、慢性副鼻腔炎とは、急性副鼻腔炎が長引いたり繰り返されたりして、その症状が3カ月以上続く副鼻腔炎のことを指します。
また最近、好酸球性副鼻腔炎というものがあります。 好酸球とは、アレルギー性鼻炎や喘息などアレルギー反応に関わる白血球の一種で、そのアレルギーと関連した鼻炎のことを言います。
急性副鼻腔炎の治療には、抗菌薬を使用します。 通常、2週間程度服用を続ければ完治しますが、それでも治らず症状が3カ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎と考えられ、マクロライド系の抗菌薬を少量ずつ飲み続ける治療を行うことがあります。その他の治療法としては、鼻の中を洗って膿を出し、できるだけ膿を残さないようにする「鼻洗浄」という方法があります。
嗅覚障害
においを感じる嗅細胞は鼻の粘膜にあり、嗅細胞でにおい分子をキャッチし嗅神経につながっています。その後、大脳へとにおいの情報が伝達され、「におい」として認識されます。
嗅覚障害の患者さんは、この一連の流れのどこかに障害があると考えられます。
主な症状は「においが分からない」「においを感じにくくなった」「いつもと違うにおいに感じる」という症状です。
発症原因となる病気のほとんどは、"慢性副鼻腔炎"、"感冒(かぜ)"、であり、まれに"頭部の外傷"や、心因性、薬剤性、加齢性、神経変性疾患などがあります。
新型コロナウイルス感染症の後遺症としての味覚嗅覚障害は、発症後1ヶ月以上経過しても自然回復しなかった場合が対象になります。嗅覚が低下した状態で長期になると治癒率が下がるとも言われており、早期の診断・治療が必要になります。まずは、鼻の中の診察が必要不可欠になります。